「総額表示」義務化!どう表示する?具体例と注意点【おすすめ表示方法】

商品やサービスの価格に消費税分を加えた「総額表示」が
2021年4月1日から義務づけられます。

「総額表示」とは、
消費者に商品の販売やサービスの提供を行う事業者が
値札やチラシなどにあらかじめ取引価格を表示する際、
消費税額を含めた価格(税込価格)を表示することをいいます。

今回のブログでは、総額表示義務化の注意点や
具体的な表示方法などを解説していきます。
おすすめの表示例もご紹介していますので、
ぜひ参考にしてください。
 
 

【そもそもなぜ義務化されるの?】

1989年4月に税率3%でスタートした消費税。
当時はお店によって税抜価格と税込価格が混在しており、
消費者にとっては清算するまで支払金額が分からない、
価格の比較がしにくいという問題がありました。

そこで2004年4月、
消費税を含めた「総額表示」が初めて義務化されました。

ところがその後、消費増税の議論がおこなわれ、
2014年に税率8%、2019年には税率10%にと
段階を踏んで消費税率が引き上げられることが決まります。
事業者側はその都度表示価格を修正しなければならない
事務負担が発生してしまいました。

その負担を軽減するために、
1段階目の8%への引き上げを控えた2013年、
総額表示義務の免除が特例として導入されたのです。

この特例措置法が2021年3月31日に終了するため、
4月1日から総額表示がふたたび義務付けられることになります。

総額表示の義務は、
消費者が支払総額を一目で分かるようにするために、
実は2004年からすでに始まっていたものなのです。
 
 

【対象となる取引は?】

消費者に対して商品の販売、役務の提供などを行う場合
いわゆる小売段階の価格表示をするときには
総額表示が義務付けられます。

事業者間での取引は総額表示義務の対象とはなりません。
たとえば、卸売業者と小売店の間でおこなう取引は
事業者間での取引となるため、総額表示の義務はありません。
 
 

【対象となる表示媒体は?】

不特定多数の消費者に対してあらかじめ価格表示をする場合が対象となり、
表示媒体を問わずすべてに義務付けられます。

 ・値札   ・店頭POP  ・ポスター
 ・チラシ  ・カタログ  ・メニュー表
 ・ダイレクトメール  ・新聞  ・雑誌
 ・インターネットホームページ  ・テレビCM
 など・・・
 

[対象外となるもの]

×見積書や請求書、契約書など
 不特定多数に対する価格表示が対象のため、
 これらの書類は対象にはなりません。

×口頭による価格提示
 総額表示義務はあらかじめ取引価格を表示する場合が対象であり、
 価格表示がされていない場合にまで
 価格表示を強制するものではありません。

×事業者間の取引に使われるカタログなど
 事業者間取引の場合は、総額表示の義務はありません。
 (もちろん総額表示でもOKです)

また、ECサイト(ネット通販)の場合
ホームページ上では総額表示をしなければなりませんが、
実際にお客様の手元に届く商品の値札は
税別表記のままでも問題ありません。
 
 

【具体的な表示例】

標準税率10%が適用される場合の表示例です。

ポイントとしては、
支払総額である「11,000円」さえ表示されていればよく、
「消費税額等」や「税抜価格」が表示されていても構いません。

例えば「10,000円(税込11,000円)」とされた表示も、
消費税額を含んだ価格が明瞭に表示されていればOKです。

ただし注意しなければならない点があります。

このように税抜価格を本書きとする表示方法の場合、
文字の大きさや色を変えて「税抜価格」を強調し
消費者に誤認を与えるような表示はやってはいけません。
「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」に違反する恐れがあります。

総額表示義務化の趣旨は、
支払金額を一目で分かるようにすることにより
消費者の利便性を向上させることです。

この趣旨を踏まえた表示方法を検討しましょう。
 
 

【おすすめの表示】

[おすすめ①]
表示するスペースが少ない場合や、
できるだけスッキリ見せたい場合は
「11,000円」「11,000円(税込)」と
コンパクトに表示するのが良いでしょう。
 

[おすすめ②]
メニュー表など、価格をいくつも並べて表示するときは
「11,000円」と税込価格のみ表示して、
見やすい箇所に「※すべて税込価格です」と表記すると
シンプルかつ分かりやすいです。

 
 

[おすすめ③]
表示スペースに余裕があるのでしたら、
「11,000円(税抜価格10,000円)」
「11,000円(うち消費税額等1,000円)」
「11,000円(税抜価格10,000円、消費税額等1,000円)」
と長めの表示にすることで
お客様に丁寧な印象を与えられます。
 

[おすすめ④]
値上がりした印象を与えたくない場合には、
「10,000円(税込11,000円)」と
税抜価格を本書きするのが良いでしょう。
ただし先述のとおり、税抜価格を強調して
消費者の誤解を招くデザインはNGです。
 

お客様に与えたい印象や、他の情報量とのバランスを見て
表示の仕方を工夫しましょう。
 
 

【印刷物の表示、どう直す?】

すでに印刷されているポスターやカタログ、メニュー表などの
価格表示を直したいときは、訂正シールが便利です。
 

[ポイント★訂正シールとは?]
印刷物の訂正用につくられたシールです。
糊をグレー色に着色することで、隠したい文字が透けにくくなっています。

△普通糊シールと訂正糊シールを並べて貼ってみました。
 普通糊は下の文字が透けて見えていますが、
 訂正糊は完全に隠せています。
 訂正糊は、シール自体がグレーがかって見える特徴があります。
 

ただし、印刷数量が多いときや、
貼る箇所が多く作業が大変なときは
印刷物自体を刷り直してしまったほうが良いかもしれません。
 

訂正シールをつくる場合と印刷物を刷りなおす場合で
両方見積を取って金額比較してみるのもおすすめです。
 
 
総額表示義務化まで残りわずか。
年度末は印刷業界が混み合う時期でもあります。
早めの準備を心掛けましょう!


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